フランスとフランス語の「鬼滅の刃(Demon slayer)」事情

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実は日本と似ていた事情

今ではフランスの書店だけではなくカフェでも置かれている日本のコミック「鬼滅の刃」。

フランスでは日本のコミックは「Manga」です。

では「鬼滅の刃」は?

現在は「Demon slayer」です。

「現在は」とわざわざ断るのも、実は以前は違っていたからなのです。

始まりは地味に…

日本で爆発的な人気を博している「鬼滅の刃」ですが、週刊ジャンプで連載が始まりだした頃は一部のファンの支持を得ているだけでした。

それがテレビアニメで放送されるや、子供たちの間で人気に火が付き、連載やコミックにも逆拡散していったのでした。

テレビアニメの作画と音楽(効果音含め)のクオリティの高さは圧倒的なものだったのです。

もちろん原作のコミックも良かったのですが、テレビアニメの放送が無かったら、これほどまでに拡がったかどうかはわかりません。

そしてコロナ禍の中での映画「劇場版鬼滅の刃(無限列車)」の大ヒットで、子供から大人まで感動の涙を流す人が続出するという社会現象になりました。

この辺の経緯は、世間で知られている話ですが、実はフランスでの「鬼滅の刃」人気の高まりも同じ経緯なのです。

2016年にコミックのフランス語版が発売されましたが、人気コミックではありませんでした。

題名は「Les Rôdeurs de la Nuit 」。

ところがアニメの動画(フランス語字幕)がフランスで見られるようになってから、一気に人気に火が付きました。

そして原作のコミックを読みたくなる人が増えて、今や人気コミックになったのでした。

題名も英語版と同じ「Demon slayer」に変更されました。

日本のコミック…という言い方をしますが、コアなファンからすると「鬼滅の刃」はコミックではない!とお叱りを受けそうです。

Mangaと言った方が適切かもしれませんが、ここはご容赦ください。

フランス語版「鬼滅の刃(Demon slayer)」は英語版と違う?

フランス語版と英語版の「鬼滅の刃」は題名を揃えた割に、販売されている内容には差があります。

左:日本語版、中:フランス語版、右:英語版

まずご覧になると一目瞭然ですが、書籍のサイズが違います。

英語版はアメリカといいますか世界標準のペーパーバック形態(紙カバー無し)です。

アメリカのPocketbookなどに近いサイズ(12.7 x 1.78 x 19.05 cm)です。

一方、フランス語版は、サイズも紙カバー仕様も日本のコミックとほぼ同じ形態です。

じゃぁフランス語版は、英語版と違って日本語版に近いかというと、そうでもありません。

左:日本語版、中:フランス語版、右:英語版

裏表紙のデザインは英語版のデザインは日本語版とほぼ同じ(色合いの明度は違う)ですが、フランス語版だけは違うデザインになっています。(似せようという意識は感じられますが)

擬音、効果音は?

コミックでは、「ガーン」とか、「バシャッ」とか、効果音が大切です。

漫画のコマ中のネーム(セリフ)とは別に、絵の中に直接書き込まれています。

著作権があるので現物をお見せできないのですが、これも英語版とフランス語で違っています。

英語版では、日本語の擬音を英語に完全に書き換えてあります。

フランス語版では、日本語の擬音をそのまま残して、下にフランス語で書き添えてあります。

例えば、第1巻の12ページ目に出てくる、臭いをかぐ「クン クン」です。

英語版では「SNIF SNIF」と、カタカナを英語に書き換えられて(描き替えられて)います。

フランス語版では、カタカナのままで絵はいじってなく、カタカナの下に小さく「SNIF SNIF」と書き添えられています。

フランス人の誰もが知っているわけではない

フランスで人気が出ている、という話をしておいて何ですが、現状はMangaに関心のあるフランス人限定の話です。

実際、私が良く連絡を取り合うフランス人で、コミックを持っている人は誰もいません。

「今度時間があったら見てみるね」とのことでしたが、今のところ何の音沙汰もありません。


と、いうようなことが2021年春の時点での事情です。

これからフランスとフランス語の「鬼滅の刃(Demon slayer)」の中身について、さらなるトピックをご紹介していきたいと思います。

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